インプラント手術において、さまざまな部品や術式の名前があります。
歯科医院でいわれても何のことを指しているか分からない患者様も多いのではないでしょうか。
今回はインプラント治療の際に比較的よく使う用語について解説します。
目次
■インプラントの部品に関連する用語
◎インプラント体
人工の歯根部分のことを指します。
この部分が脱落した時がインプラントの寿命とされる重要な部分です。
◎アバットメント
インプラントにおいて、インプラント体、上部構造をつなぎ土台となる真ん中の部分です。
二つの構造をつなぐだけでなく、噛み合わせの高さや角度などを調節できる機能を備えています。
◎上部構造
アバットメントの上に装着する人工歯を上部構造と呼びます。
外から唯一見える部分です。
◎フィクスチャー
インプラント体の別の呼び方です。
■術式、処置についての用語
◎説明と同意
インフォームドコンセントとも呼ばれます。
治療には丁寧な説明と患者さまの同意が必要であることから、近年言われるようになった言葉です。
治療に関する説明を口頭と文章で行い、同意を得てから治療に進む流れ全般を指すこともあります。
◎一次手術
インプラント体を歯槽骨内に埋入する手術のことです。
術後、インプラントと骨が結合するまで待ってからアバットメントや上部構造を装着する処置に移ります。
◎骨移植
インプラントを埋入する時に、歯槽骨の量が足りないとインプラントが定着しないというリスクが上がります。
骨移植は歯槽骨が足りない部分に骨充填剤を注入し、歯槽骨の不足を補い、インプラントを安定させるための処置です。
◎二次手術
インプラントの一次手術の後に、インプラント体の上に被った歯肉を切開するための手術です。
歯肉を切開し、インプラント体を露出させた後、アバットメントを装着します。
◎口腔衛生指導
口腔内を清潔に保つための指導全般のことを指します。
インプラント埋入後は口腔内を清潔にし、インプラント周囲炎を起こさないようにするのが大切なため、歯科医院では定期的な口腔衛生指導を行っています。
◎抜歯即時インプラント
抜歯処置と同時にインプラント埋入手術を行うことを指します。
抜歯窩をそのまま利用できるため、治癒を待った後再度切削を行うよりは患者さまの負担が少ないのが特徴です。
ただし、顎の骨の状態によっては治療ができない場合もあり、全ての方が可能なわけではありません。
◎モニタリング
脈拍や血圧などを測りながら治療を行うことを指します。
インプラント治療中は出血を伴うため、全身疾患のある方など、リスクの高い方はモニタリングを行いながらインプラント手術を行うことが推奨されます。
■病名、症状などの用語
◎インプラント周囲炎
インプラント周囲に起こる広がりの早い炎症のことをいいます。
歯槽骨とインプラント体の間にはクッションとなる歯根膜がないため、炎症の波及が早いのが特徴です。
◎オトガイ神経麻痺
オトガイ神経とは、下顎の中心付近にある神経のことを指します。
インプラント手術などによってこれが傷つくと麻痺が起こります。
◎金属アレルギー
金属を原因として起こるアレルギーです。
歯科領域では、唾液などで金属イオンが溶け出し、それに対してアレルギーを起こすケースが多いです。
インプラント治療の領域においては、インプラント体に使われるチタンが金属ですが、チタンは人体親和性が高く、金属アレルギーを起こしにくいのが特徴です。
◎偶発症
インプラント治療においては、その治療時に起こる神経麻痺、感染など予期できなかった事故のことを指します。
偶発症は限りなく0に近くすることはできても完全になくすことはできないため、できるだけ起こさないような仕組みや技術の追求が必要となります。
■口腔内の部位についての用語
◎下顎管
下顎に通っている管です。
下歯槽神経、下歯槽静脈など重要な神経や血管が通っています。
◎上顎洞
鼻の脇付近にある空洞のことです。
上顎のインプラントを行う時、上顎の骨が薄いとこの上顎洞にインプラントが貫通してしまうリスクがあります。
■物品などについての用語
◎抗凝固薬
血栓の生成を防止するために、血液をさらさらにする薬です。
インプラント治療では、出血を伴うため、この薬を服用されている方には注意が必要となります。
◎シェードガイド
インプラント治療においては、その上部構造の色味を選ぶためのガイドのことを指します。
◎チタン
金属の一種です。
人体親和性が高く、金属アレルギーを起こしにくいことから、インプラント体に使われます。
全ての方に金属アレルギーを起こさないわけではありませんが、人工関節にも使われる信頼性の高い金属です。
【インプラントの用語を覚えておくと安心】
インプラント治療において使われる用語は多くありますが、基本的なものだけでも覚えておくと、やり取りがスムーズになります。
インプラント治療をご検討中の方はぜひ参考になさってみてください。