インプラントは歯科医療の範囲では比較的新しい治療法です。
昨今は一般的になり、安全性の高い治療法として認知されています。
しかし大きな外科処置をともなう治療法であることから、失敗の可能性がないわけではありません。
インプラント失敗の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
予防法や改善法もあわせて解説します。
目次
■インプラントにおける失敗とは
◎インプラントが固定しない
インプラントにおける失敗の例として、インプラントが歯槽骨に固定しないというのがあげられます。
通常インプラントの後は4~6ヶ月程度でインプラント体が歯槽骨に固定します。
これがいつまでも起こらないと、インプラント手術の失敗となります。
◎しばらく後、脱落した
またインプラントが1度骨に固定した後も、短期間で脱落してしまうとインプラント失敗となります。
インプラントの寿命は90%以上が10年程度使えるとされています。
これよりもっと早期に脱落してしまう場合は、インプラント手術の失敗といえるでしょう。
◎痛みや違和感が引かない
神経に触れているなどで、いつまでも痛みや違和感が引かない場合もインプラント手術失敗といえます。
場合によってはインプラント体を取り除かなければならないケースもあるでしょう。
◎破損などが起こった
力がかかったなどの原因により、インプラントに破損が起こってしまうことがあります。
もし、破損を修理できない状態だと、インプラントの再手術となることもあります。
■インプラントで失敗しないために
◎インプラント周囲炎を予防する
インプラントは天然の歯と違い、歯槽骨と直接結合しています。
間に、天然の歯にはある「歯根膜」という膜がないため、感染が起こると一気に波及してしまうという特徴があります。
これをインプラント周囲炎と呼びます。
インプラント周囲炎になると早急に歯槽骨が吸収し、インプラント体の早期脱落につながります。
インプラント周囲炎を起こさないためには、医院としては手術を行う際、滅菌や消毒に注意する必要があります。
また、インプラント治療後の患者様においては、日々のケアを欠かさないなどの予防を行うことが大切です。
◎事前検査をしっかり行う
基礎疾患を見逃していたり、歯周病を見逃していたりするとインプラントの早期脱落につながることがあります。
事前検査を丁寧に行ってもらい、検査の結果を踏まえて無理のない治療を進めるようにしましょう。
◎メンテナンスを欠かさない
噛み合わせや細菌感染などの観点から、日々のメンテナンスはとても重要となります。
インプラント埋入後は3ヶ月に1度歯科医院に通い、メンテナンスを行いましょう。
メンテナンスに行っていないと保証を受けられない歯科医院もあるほど、インプラント埋入後のメンテナンスは重要です。
◎できれば禁煙する
喫煙している方は、できれば禁煙する方がいいでしょう。
インプラント手術中はもちろん、インプラント手術後も禁煙することをおすすめします。喫煙されている方は歯周組織の血流が悪くなりがちで、傷の治癒が遅くなるだけでなく、炎症が起こっても気づきにくいという特徴があります。
■修理できる範囲
◎アバットメント、上部構造
アバットメントと上部構造は、破損しても多くの場合修理が可能です。
もし破損が起こった場合は破損したものをそのまま歯科医院にお持ちください。
◎インプラント体は修理不可能
歯槽骨内に埋入されているインプラント体に破損が起こった場合、修理は不可能となります。
再手術となるため注意が必要です。
【インプラントの失敗を回避するために】
インプラントの失敗を回避するためには、インプラント歯周炎を起こさない、メンテナンスを行うなどさまざまな方法があります。
インプラントは、大切に使えば10年以上使えるコストパフォーマンスの良い治療です。
その良さを最大限に引き出せるように、歯科医院と連携しながら良い状態を維持してください。