インプラント治療では、歯の根の代わりとなるインプラント体を顎の骨に埋め込みます。
そのインプラント体の素材として、一般的に使用されているのがチタンという素材です。
チタンは生体親和性が高く、骨と強固に結合する特性を持っているため、多くのインプラントメーカーでインプラント体として採用されています。
しかし、チタンは金属なので、金属アレルギーのリスクを気にされる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、チタンがインプラントの素材として選ばれる理由や金属アレルギーのリスクについて詳しく解説します。
目次
■インプラントにチタンが選ばれる理由
◎生体親和性が高い
チタンは生体親和性が非常に高い金属であり、体内に埋め込んでも異物反応を起こしにくい特徴があります。
通常、体に異物が入ると免疫機能が働き、拒絶反応を引き起こすことがあります。
しかし、チタンは体の組織と調和しやすいため、長期間安定した状態を維持することが可能です。
この特性により、インプラントだけでなく、人工関節など、医療のさまざまな分野で広く使用されています。
◎骨と強固に結合する特性を持つ
チタンは、骨と直接結合する「オッセオインテグレーション」という現象を引き起こします。
この現象により、インプラントが顎の骨と一体化し、人工歯根となることで強い安定性を確保できます。
オッセオインテグレーションがしっかりと機能することで、インプラントがしっかりと固定され、天然歯に近い噛む力を発揮できるようになります。
◎耐久性が高く長期間使用できる
チタンは非常に強度が高く、長期間にわたって口腔内で安定して機能することができます。また、耐食性にも優れており、口の中で唾液や食べ物にさらされても錆びにくいです。
これにより10年以上の長期間、問題なく使用できる可能性が高くなります。
◎軽量で体に負担をかけにくい
金属の中でもチタンは比較的軽量であるため、顎の骨に埋め込んでも負担が少ないというメリットがあります。
特に、複数のインプラントを埋め込む場合、軽量であることは大きなメリットになります。
■チタンインプラントと金属アレルギーのリスク
◎チタンは金属アレルギーを起こしにくい
一般的に、チタンは金属アレルギーを引き起こしにくい金属として知られています。
金属アレルギーは、金属イオンが体内に溶け出すことで免疫反応を引き起こすことが原因ですが、チタンはこの影響をほとんど受けません。
これは、チタンが酸化被膜を形成する性質を持っており、金属イオンが溶け出しにくいためです。
そのため、金属アレルギーのある方でも、チタン製インプラントが問題なく使用できるケースが多いです。
◎チタンアレルギーの可能性はゼロではない
チタンは非常にアレルギーを起こしにくい金属ですが、まれにチタンアレルギーの症例が報告されています。
金属アレルギーのリスクがある方は、事前にテストを受け、チタンに対するアレルギーの有無を確認するのがおすすめです。
■長く使い続けるためには
◎定期的な検診を受ける
インプラントを長持ちさせるためには、定期的な歯科検診を受けることが必要です。
特に、インプラント周囲炎を防ぐために、歯科医師の指導に従い、正しいセルフケアを行うことが大切となります。
【チタンによる金属アレルギーのリスクはとても低い】
インプラントの素材としてチタンが選ばれるのは、その高い生体親和性、骨との強固な結合、耐久性の高さ、軽量性など多くのメリットがあるためです。
特に、オッセオインテグレーションの特性によって、顎の骨としっかり結合し、天然歯に近い噛む力が得られることは大きなメリットです。
また、チタンは金属アレルギーを起こしにくい金属ですが、まれにアレルギー反応を示す方もいるため、心配な方は事前にテストを受けましょう。インプラントについてご不明点があれば、お気軽にご相談ください。