
インプラント治療には1回法と2回法という手術方法があります。
どちらも人工歯根を顎の骨に埋め込むという基本の流れは同じですが、手術の回数や歯肉の処理方法が異なります。
それぞれにメリット、デメリットがあり、骨や歯肉の状態によってどちらが適しているかが変わります。
この記事では、1回法と2回法の違い、選ばれる条件、そしてそれぞれの特徴についてわかりやすく解説します。
目次
■インプラント治療の基本的な流れ
◎フィクスチャー埋入と人工歯の装着
インプラント治療は、歯を失った部分にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける方法です。
フィクスチャーが骨と結合するまでには数ヶ月かかるため、治療は段階的に進みます。
その過程で手術を1回で行うか、2回に分けるかという違いが生まれます。
◎インプラント手術の1回法と2回法の大きな違い
1回法では、インプラントを埋め込むと同時に、歯肉から上に突き出すヒーリングアバットメント(歯肉形成キャップ)も装着します。
一方、2回法では、まずインプラントを骨の中に完全に埋め込み、歯肉で覆って治癒を待ち、数ヶ月後に再度小さな切開をしてアバットメントを装着します。
■1回法の特徴とメリット
◎治療期間が短縮できる
1回法はその名の通り、1回の外科手術でフィクスチャーとアバットメントの両方を設置する方法です。
手術の回数が少なく、身体的負担や通院回数を減らせるのが特徴です。
歯肉を切開するのが1回だけのため、2回法に比べて治療期間を短縮できます。
骨や歯肉の条件が良好で、感染リスクが低い場合には、1回法が選択されることがあります。
◎審美性にも優れるケースがある
前歯など見た目が重要な部分では、1回法により、歯肉の形態を早く整えられる場合もあります。歯肉の形を自然に形成できるため、人工歯を装着した際の仕上がりが美しくなることもあります。
◎1回法の注意点(デメリット)
1回法はインプラントの一部が歯肉の上に出るため、治癒期間中に細菌感染のリスクがあります。
また、骨の量が少ない、歯肉が薄い、初期固定が弱い場合などでは適応が難しいことがあります。
無理に1回法を選ぶと、骨とインプラント体の結合がうまくいかず、失敗の原因になることもあるため、慎重な診断が必要です。
■2回法の特徴とメリット
◎骨や歯肉の状態が悪くても対応しやすい
2回法では、インプラントを歯肉の下に完全に埋め込み、数ヶ月間しっかりと骨と結合させてから2回目の手術でアバットメントの装着を行います。
そのため、外部からの刺激や感染のリスク抑えらる傾向があります。
骨の再生治療(GBRなど)を併用する場合や、骨が柔らかく安定が得にくいケースでは、2回法が適しています。時間をかけて治癒を待つことで、骨結合の安定を促します。
◎長期的な成功率が高い
2回法は治療期間がやや長くなるものの、長期的なインプラントの安定性が高いとされています。
特に、奥歯のように強い咬合力がかかる部位では、2回法が選ばれることが多いです。
◎2回法の注意点(デメリット)
2回法は手術が2回必要なため、患者さまへの身体的負担がやや大きくなります。
歯肉を再び切開するため、腫れや痛みを感じる期間が少し長くなることもあります。
ただし、その分だけ慎重に治療を進められるという安心感もあります。
■どんな人が1回法・2回法になるのか
◎1回法が向いている人
- 骨量が十分にあり、初期固定がしっかりしている方
- 感染や炎症のリスクが低い方
- 治療期間を短くしたい方
◎2回法が向いている人
- 骨や歯肉が薄く、安定性が不足している方
- 骨造成(GBR)などを併用している方
- 確実な骨結合を優先したい方
インプラントの1回法・2回法は、どちらが良い、悪いではなく、患者さまの口腔状態や希望に合わせて選択されるものです。
※必ずしも希望通りになるわけではありません。
担当の歯科医師がCT撮影などで骨の状態を正確に診断し、患者さまに合った方法をご提案します。
【インプラント手術、1回法?2回法? 適した治療を選ぼう】
インプラントの1回法は短期間で治療を進められる点がメリットで、2回法は確実な骨結合と安定性を重視した方法です。
それぞれにメリットとデメリットがあり、口腔状態に合わせて適切な方法を選択することが大切です。
関連記事:
