持病のある高齢の親は抜歯できる?歯科の外科処置を受ける条件|松山市の歯医者|カネコデンタルオフィス【公式】

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持病のある高齢の親は抜歯できる?歯科の外科処置を受ける条件

持病のある高齢の親は抜歯できる?歯科の外科処置を受ける条件

持病があるご高齢の親御さんの抜歯、判断に迷っていませんか


降圧剤や血糖値の薬を飲んでいる親に、抜歯やインプラントを勧められた——体への負担が気になるのは自然なことです。歯科では処置の前に全身状態を確かめ、条件を整えたうえで進めます。この記事では、確認される数値や服薬の見方、内科との連携の手順を整理します。


この記事の要点まとめ


  • 抜歯前は血圧やHbA1c、服薬内容など全身状態の評価指標を確認します。
  • 内科主治医との対診やバイタル管理により、条件を整えた処置計画が検討されます。
  • 持病があっても管理状況次第で処置を考えられる場合があり、自己判断の休薬は避け相談が推奨されます。

高齢者の抜歯や外科処置で確認される全身状態の評価指標

高齢者の抜歯や外科処置で確認される全身状態の評価指標

歯科の外科処置は、お口の中だけを見て可否を決めるものではありません。松山市で親御さんに付き添われる方からも「どこを基準に判断するのですか」というご質問をよくいただきます。まずは、術前評価で歯科医師が目を向けている項目を整理しておきましょう。


血圧値や血糖値(HbA1c)の目安と管理状態


抜歯当日は、緊張や痛みの刺激で血圧が上がりやすいもの。来院時の数値が普段よりかなり高ければ、日を改める判断をすることもあります。収縮期血圧が180mmHgを超えるような状態では、処置をいったん見合わせ、内科での調整を先に進めるという考え方が広く取られています。


糖尿病の場合は、直近のHbA1cと日々の管理状況が手がかりになります。血糖コントロールが乱れていると傷の治り方や感染への抵抗力に影響が出やすいため、注目したいのは数値そのものよりも「主治医のもとで安定して管理できているか」という点です2。歯周病と糖尿病が互いに関係し合うことも知られており、口腔内の炎症を整えること自体が全身の管理を支える面もあります3


日常的に服用している薬(抗凝固薬・骨粗鬆症治療薬など)の影響


服薬内容は、術前評価のなかでも特に丁寧に伺う部分です。心筋梗塞や脳梗塞の予防で抗血栓薬を飲んでいる方は出血が止まりにくい傾向があるため、止血材の使い方や縫合の方法をあらかじめ計画しておきます。


骨粗鬆症で用いられるビスホスホネート製剤などは、顎の骨の治癒に関わることが知られています。服用期間や投与経路(内服か注射か)によって配慮の内容が変わるので、開始時期まで含めて確認します。降圧剤や血糖降下薬についても、当日の服用タイミングを整理しておけば、落ち着いて処置に臨みやすくなります。


全身の健康リスクを示す身体状態分類(ASA分類)の考え方


医科では、全身状態を客観的に段階分けする「ASA身体状態分類」という枠組みが広く使われています。持病がなく健康な状態をクラス1、軽度の全身疾患があるものの管理されている状態をクラス2、日常生活に制限を伴う中等度以上の疾患をクラス3、といった整理です。


高血圧症と軽度の糖尿病があり内科で管理されている高齢の方なら、クラス2〜3に該当することが多いでしょう。この分類は「できる・できない」を機械的に線引きするものではなく、どこまでの配慮が必要かを共有するための共通言語として役立ちます。フレイルの程度やADL(日常生活動作)と併せて見ることで、処置時間を短くする、回数を分けるといった計画の土台ができます2


持病を持つ高齢者が外科処置を受けるための配慮と条件


条件が整えば、持病のある方でも歯科の外科処置を計画できる場合があります。鍵になるのは、情報の共有と処置中の管理体制です。


内科主治医との情報共有(対診)と治療計画の策定


歯科医院から内科の主治医へ書面で問い合わせる手続きを「対診」と呼びます。疾患のコントロール状況、処置に臨める全身状態かどうか、服薬の調整が必要かを確認する工程です。


返答が届くまでに1〜2週間かかることもあります。だからこそ処置を急がず、余裕をもってご相談を始めていただく進め方をおすすめしています。届いた情報をもとに、処置範囲を分けるか一度で行うか、午前の予約にするかなど、具体的な段取りを組み立てていきます。全身の健康と口腔の健康が密接に関わる点は、公的機関の情報でも繰り返し示されています2


生体情報モニタリング(バイタルセンサー)による処置中の管理


処置の最中に血圧・脈拍・血中酸素飽和度を継続して確認できる体制があると、変化の兆しを早い段階で捉えやすくなります。当院ではバイタルセンサーを備え、必要に応じて数値を確認しながら処置を進める態勢を整えています。AEDも常備しています。


数値に変動が見られたら、いったん手を止めて休憩を挟む、姿勢を整えるといった対応を取ります。ご家族にとっても、見守られながら進んでいるとわかることは、心理的な負担の軽減につながる場合があります。


笑気吸入鎮静法や電動麻酔を活用したお体への刺激軽減


血圧の上昇は、痛みだけでなく緊張や不安からも起こります。そこで用いられるのが笑気吸入鎮静法です。鼻からガスを吸っていただくとリラックスした状態に近づき、処置への抵抗感がやわらぐことが期待されます。ご自身で呼吸を保てるため、全身麻酔とは異なり術後の回復も穏やかに進みやすいとされています。


さらに、麻酔液を一定の速度で注入する電動麻酔器を使えば、注入時の圧力による刺激を抑えやすくなります。歯周病治療の段階から炎症を整えておくことも、外科処置の負担を軽くする準備のひとつ3。当院では治療の前後にカウンセリングの時間を設け、どのような処置が必要かを丁寧にご説明する方針を掲げています。気になる点は遠慮なくお聞かせください。


「持病があると抜歯できない?」高齢者の歯科処置に関する3つの誤解


ご家族から寄せられるお声には、共通した思い込みがいくつかあります。ここで整理しておきましょう。


誤解1「持病で薬を飲んでいると絶対に抜歯はできない」


持病があること自体が、処置を諦める理由になるとは限りません。分かれ目は病名ではなく、その疾患がどこまで管理されているか。内科に定期通院し数値が落ち着いている方であれば、配慮を重ねたうえで計画を立てられるケースも少なくありません。


一方で、放置されたむし歯や重度の歯周病は慢性的な炎症源となり、全身に影響を及ぼす可能性が指摘されています1「持病があるから何もしない」という選択が、体にとって負担の少ない道とは言い切れない——この視点も意思決定の材料になります。


誤解2「処置を受けるために自己判断で休薬しなければならない」


抗血栓薬を飲んでいる方が、抜歯前にご自身の判断で服用をやめてしまうのは注意が必要な対応です。休薬による血栓のリスクは、抜歯後の出血よりも重い事態につながる可能性があります。


近年は、抗血栓薬を続けたまま局所の止血処置で対応する考え方が広く取られています。服薬の調整は、必ず処方元の主治医の指示に沿って行うものです。休薬が必要かどうかは歯科側から照会しますので、患者さまやご家族が独自に判断する必要はありません。


誤解3「認知機能や日常生活動作(ADL)は処置に関係ない」


実のところ、認知機能やADLの状態は処置計画に大きく関わります。同じ姿勢を一定時間保てるか、術後の指示(患部を触らない、指定された薬を飲むなど)を理解して実行できるか。こうした点が現実的な課題になるからです。


認知症の進行がある場合は、処置時間を短く区切る、術後の管理をご家族に担っていただく、といった工夫を組み合わせます。フレイルや低栄養の傾向があれば、リハビリテーションや食事の支援と並行して口腔の環境を整える発想も役立ちます。誤嚥性肺炎や術後せん妄への配慮も含め、生活全体を見渡した計画づくりが求められます3


ご家族の持病や全身状態に配慮した事前相談の流れ


お薬手帳の持参と事前の全身状態チェック


ご相談の際は、お薬手帳・内科の検査結果(血圧やHbA1cの記録)・かかりつけ医の連絡先をお持ちいただくと話が進みやすくなります。既往歴や過去の入院歴、日頃の生活の様子もあわせて伺います。ご本人が説明しづらいときは、ご家族の同席が大きな助けになります。


カネコデンタルオフィスの全身管理体制と相談窓口


当院では歯科用CTで骨の状態を三次元的に把握し、バイタルセンサーや笑気ガス、電動麻酔器、AEDを備えた環境で処置に臨みます。個室の診療室もご用意しており、通院が難しい方には訪問診療という選択肢もあります。松山市駅から徒歩6分、提携駐車場もございますので、まずはご相談ください。


よくある質問


Q1. 抜歯などの外科処置に臨める年齢の上限はありますか?


A. 年齢だけで一律に線を引く考え方は取られていません。80代や90代の方でも、全身状態が落ち着いていれば計画できる場合があります。逆に若くても疾患のコントロールが十分でなければ、まず調整を優先します。暦の年齢よりも、体力や活動量、持病の管理状況といった総合的な評価が重視されます。


Q2. 高齢者の全身麻酔にはリスクがありますか?


A. 全身麻酔は呼吸や循環に影響が及ぶことがあり、高齢の方では術後せん妄や肺炎などへの配慮が必要になります。もっとも歯科の一般的な抜歯は局所麻酔で行われることがほとんどで、緊張の強い方には笑気吸入鎮静法という選択肢もあります。処置内容に応じた麻酔方法をご相談いただけます。


Q3. 手術に臨める体力とは、具体的に何を指しますか?


A. 一定時間座った姿勢を保てるか、日常生活をどの程度自力でこなせるか(ADL)、栄養状態や筋力が保たれているか——こうした要素の総合です。フレイルの評価尺度が参考にされることもあります。歩く速さや食事量の変化は、ご家族が気づきやすい手がかりです。


Q4. 後期高齢者の外来自己負担には上限がありますか?


A. 公的医療保険には高額療養費制度があり、所得区分に応じた月ごとの自己負担上限が設けられています。金額は制度改定で変わるため、加入先の後期高齢者医療広域連合や市区町村の窓口でご確認ください。なお、インプラントなどの自由診療は制度の対象外です。


Q5. 相談だけでも受けてもらえますか?


A. はい。処置を受けるかどうかを決める前の段階でも、全身状態の確認や選択肢のご説明は可能です。内科への照会に日数を要することもありますので、早めのご相談をおすすめします。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth

2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

3. 日本臨床歯周病学会 https://www.perio.jp/


金子 一平

歯科医師


カネコデンタルオフィス

院長

金子 一平

▶ 監修者プロフィール

経歴
平成11年3月 愛光高校卒業
平成18年3月 九州大学歯学部卒業
福岡市にて勤務
横浜市にて勤務
平成27年12月 開業
資格・所属学会
【資格】
ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト
日本歯周病学会 認定医
介護支援専門員
【所属学会】
日本口腔インプラント学会
インプラントスタディグループ松山
日本矯正歯科学会
日本歯周病学会
日本顎咬合学会
四国SJCD
JACID
日本臨床歯周病学会
日本顕微鏡歯科学会