親の物忘れが心配な方へ|咀嚼と認知機能の関係と予防歯科ケア|松山市の歯医者|カネコデンタルオフィス【公式】

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親の物忘れが心配な方へ|咀嚼と認知機能の関係と予防歯科ケア

親の物忘れが心配な方へ|咀嚼と認知機能の関係と予防歯科ケア

親の食事の変化と物忘れ、気になっていませんか


硬いものを避けるようになった、同じ話を繰り返す——親の小さな変化に不安を覚える方は少なくありません。噛む動作には、脳へ刺激を届ける側面もあると考えられています。この記事では咀嚼と認知機能の関わりを整理し、ご家庭での工夫と歯科医院での検査の考え方をお伝えします。


この記事の要点まとめ


  • 噛む動作は歯根膜からの刺激や血流を通じ、脳の働きと関わる可能性が指摘されています。
  • 歯の喪失は加齢だけでなくむし歯や歯周病が背景にあることが多く、噛み合わせの回復が咀嚼継続に役立ちます。
  • 食材の工夫やガムの活用、歯科での検査・定期検診を組み合わせ、無理のない咀嚼習慣を続けることが大切です。

噛む力が脳を刺激する仕組み|咀嚼と認知機能の深い関係


食べ物を噛む動作は、ただ食塊を細かくするだけの作業ではありません。顎の筋肉、舌、頬、そして歯を支える組織が連動する、全身のなかでもかなり複雑な運動です。この運動が脳へどう届くのか、順を追って見ていきましょう。


咀嚼刺激が脳の血流量を増やし記憶に関わる部位を活性化するメカニズム


歯の根と骨のあいだには歯根膜という薄い組織があり、噛んだ瞬間の圧力を感じ取るセンサーとして働きます。ここで生まれた感覚情報は三叉神経を通り、脳幹を経由して大脳へ届くとされています。


さらに、顎を動かす筋肉が繰り返し収縮することで、頭部の血流が促されるという指摘もあります。判断や意欲に関わる前頭葉、記憶の形成に深く関わる海馬などは、血流や刺激の変化を受けやすい部位として研究の対象になってきました。国の健康情報でも、口腔機能の維持は高齢期の全身の健康や生活の質に関わるテーマとして扱われています1


つまり噛むことは「口の運動」でありながら、脳へ信号と血流を送る習慣でもある。ここが出発点になります。とはいえ咀嚼だけで認知機能が保たれると断定できるわけではなく、運動や睡眠、人との交流を含む生活習慣全体の一要素として捉えたいところです2


一口30回を目安にした意識的な噛み方と認知機能維持の関係


実践の目安としてよく挙がるのが一口30回という数字です。数を厳密に守ること自体が目的ではなく、「飲み込む前にもう数回」と意識づけるための指標だと考えてください。


噛む回数が増えると唾液の分泌が促され、消化の負担が軽くなり、食事のペースもゆるやかになります。咀嚼のたびに歯根膜からの刺激が繰り返されるため、脳への入力も増えると考えられています。


ご高齢の方に勧めるときは、いきなり回数を求めないほうが長続きしやすいようです。「左右均等に噛む」「テレビを消して食事に向き合う」といった小さな変更から始め、食事が窮屈な時間にならないよう配慮してあげてください。飲み込みにくさやむせが目立つ場合は、回数を増やす前に歯科医院や医療機関へご相談いただくことをおすすめします。


噛み合わせの不具合や歯の喪失が引き起こす悪影響とよくある誤解


「噛みにくくなったのは年齢のせい」。そう受け止めてしまうケースは多いのですが、背景に別の原因が潜んでいることも珍しくありません。


「歳のせいだから仕方ない」は誤解|歯を失う主な原因と認知リスクの関係


歯を失う原因の多くは、加齢そのものではなくむし歯と歯周病、そして噛む力の偏りによる歯の破損だとされています3。どちらも初期は痛みが出にくく、気づかないうちに支える骨が減っていくことがあります。


歯を失ったまま過ごすと、残った歯に負担が集中し、噛める範囲が少しずつ狭まることがあります。すると柔らかい食品に偏り、咀嚼の回数が減る。結果として脳へ届く刺激の総量も減っていく、という流れが想定されます。さらに食事内容が偏れば、栄養状態や体力、会話のしやすさにも影響が及びかねません。口腔の健康と全身の健康は切り離せない——この点は行政の健康情報でも繰り返し示されています12


入れ歯やインプラント等による噛み合わせの回復が果たす重要な役割


歯を失った部分を補う方法には、入れ歯(義歯)、ブリッジ、インプラントなどがあります。目的は見た目を整えることだけではありません。上下の噛み合わせのバランスを整え、咀嚼という運動そのものを続けられる状態を目指すことが本来のねらいです。


入れ歯は取り外して清掃できる利点があり、適合の調整を重ねながら使っていきます。インプラントは顎の骨に支えを設ける自由診療で、当院では費用や治療期間、想定されるリスクを含めて事前にご説明しています。どの方法にも向き不向きがあり、骨の状態や全身の健康状態、通院の負担、ご本人の希望を踏まえた慎重な選択が求められます。


そして共通して欠かせないのが、装着後のメンテナンスです。義歯もインプラントも、周囲の歯ぐきや骨の状態を定期的に確認し続けることが、長く使い続けるための条件になります。入れた時点で完了ではなく、そこからが管理の始まりだとお考えください。


日常で実践できる噛む力を鍛える生活習慣と食材の工夫

日常で実践できる噛む力を鍛える生活習慣と食材の工夫

特別な器具がなくても、毎日の食事そのものが噛む力を保つ機会になります。無理なく続けられるところから取り入れてみましょう。


毎日の食事に取り入れやすい噛み応えのある食材と調理の工夫


噛む回数が自然に増えやすい食材には、こんなものがあります。


  • 根菜類:ごぼう、れんこん、にんじんなど。加熱時間を少し短めにすると歯応えが残ります
  • きのこ類:しいたけ、えりんぎなど。繊維の方向を意識して切ると噛み応えが変わります
  • 海藻・こんにゃく:低カロリーで噛む回数を稼ぎやすい食材
  • 雑穀ごはん:白米に少量混ぜるだけで咀嚼回数が増えやすくなります

調理面では、具材を大きめに切る、皮を残す、水分を少し控える。この程度の工夫でも変化は出ます。反対に、噛む力が落ちている方へ硬すぎるものを勧めることは避けてください。大切なのは硬さの追求ではなく、その方が無理なく噛み続けられる範囲で回数を確保することです。飲み込みに不安がある場合は、食材の大きさや加熱具合を専門職と相談しながら調整していきましょう1


ガムを活用した手軽な咀嚼トレーニングと注意点


ガムは、食事以外の時間に咀嚼の機会をつくれる手段です。左右を交互に使うよう意識すると、片側に偏った噛み癖を見直すきっかけにもなります。時間は食後や休憩時に5〜10分程度から。長く噛み続けると顎の筋肉が疲れることもあるため、様子を見ながら調整してください。


選ぶ際は、糖を含まないキシリトール配合のシュガーレスタイプが扱いやすいとされています。砂糖入りのガムを長時間噛む習慣はむし歯のリスクにつながるため、注意が必要です3


なお、顎関節に痛みや音がある方、歯ぎしりの傾向が強い方、義歯を使用中の方は、ガムが負担になる場合があります。始める前に歯科医院へご相談いただくと、落ち着いて続けやすくなります。お子様の咀嚼機能の発達についても同じで、年齢に応じた配慮が欠かせません4


カネコデンタルオフィスでの咀嚼機能チェックと予防歯科ケア


「受診を勧めるべきか迷う」という段階でも、いまの状態を把握しておくことには意味があります。当院での確認の流れをご紹介します。


歯科用CTや口腔内スキャナーを活用した総合的な噛み合わせ・口腔機能検査


当院では、一人ひとりのお口の中の状態に合わせた診査・診断を行うことを基本方針としています。より質の高い治療をご提供できるよう、歯科用CT、マイクロスコープ、口腔内スキャナー「i-Tero」などの設備を導入しています。


歯科用CTでは、顎の骨の厚みや高さ、歯を支える骨の状態を立体的に確認できます。口腔内スキャナーは粘土のような材料を使わずに歯型の情報を取得できるため、型取りが苦手な方の負担軽減につながる場合があります。噛み合わせの接触状態や左右のバランスも、記録として残しながら経過を追えます。


院長として心がけているのは、検査結果をそのままお伝えするのではなく、「今どういう状態で、これから何に気をつけるとよいか」を噛み砕いてお話しすること。当院ではカウンセリングに十分な時間を確保し、お悩みや疑問を一つひとつ解きほぐしながら進めています。


患者さま一人ひとりに合わせた定期検診とむし歯・歯周病予防の取り組み


噛む力を保つ土台は、歯と歯ぐきを守り続けることにあります。当院では治療の予約とクリーニングの予約を分け、担当の歯科衛生士が継続してお口の中を確認する体制を整えました。歯周病の進行度、清掃状態、噛み合わせの変化を記録し、必要に応じて間隔を調整していきます。


ご高齢のご家族の場合、通院そのものが負担になることもあります。当院では歯科医院への通院が難しい方に向けた訪問診療も行っており、生活の場でお口の状態を確認するという選択肢もご用意しています。院長は介護支援専門員の資格も有しており、介護の状況を踏まえたご相談にも応じます。


松山市駅から徒歩6分、提携駐車場もございます。「まだ様子を見たい」という段階のご相談で構いません。気になる変化があれば、まずは現状を一緒に確認するところから始めましょう2


よくある質問


Q1. 噛むことで脳にどんなメリットがありますか?


A. 噛む動作では歯根膜からの感覚情報が神経を通って脳へ伝わり、顎の筋肉の運動によって頭部の血流が促されると考えられています。前頭葉や海馬など、記憶や判断に関わる部位への刺激につながる可能性が研究されてきました。ただし咀嚼だけで認知機能が保たれると言い切れるものではなく、生活習慣全体の一部として捉えるのが妥当でしょう。


Q2. 高齢の親がよく噛むことで、どんな変化が期待できますか?


A. 唾液の分泌が促される、食事のペースがゆるやかになる、食品の選択肢が広がりやすくなる——このあたりが挙げられます。結果として栄養状態や会話のしやすさに関わってくる面もあります。個人差が大きいため、ご本人の状態に合わせて無理のない範囲で進めてください。


Q3. 噛むことで認知機能の低下を防げますか?


A. 咀嚼と認知機能の関連は複数の研究で検討されているテーマですが、噛むことだけで低下を防げると断定できる段階ではありません。運動、睡眠、食事内容、人との交流などと合わせ、口腔の健康を保つ習慣の一つとして位置づけるのが現実的です。


Q4. 親に受診を勧めるべきか迷っています。判断の目安はありますか?


A. 硬いものを避けるようになった、食事に時間がかかる、むせることが増えた、話しづらそうにしている。こうした変化が続いているなら、一度状態を確認しておく価値があります。治療前提ではなく「現状の記録を取る」という切り口でお伝えすると、ご本人も受け入れやすいようです。


Q5. 入れ歯を使っていても噛む刺激は脳に届きますか?


A. 適合が保たれた義歯で噛めている場合、咀嚼運動そのものは行われるため、顎の筋肉や周囲組織を介した刺激は生じると考えられます。一方、合わない義歯を使い続けると噛む効率が落ちることがあります。定期的な調整と清掃状態の確認が重要になります。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 厚生労働省(政策・健康情報の入口) https://www.mhlw.go.jp/

3. 日本齲蝕学会 https://www.jacd.jp/

4. 日本小児歯科学会 https://www.jspd.gr.jp/


金子 一平

歯科医師


カネコデンタルオフィス

院長

金子 一平

▶ 監修者プロフィール

経歴
平成11年3月 愛光高校卒業
平成18年3月 九州大学歯学部卒業
福岡市にて勤務
横浜市にて勤務
平成27年12月 開業
資格・所属学会
【資格】
ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト
日本歯周病学会 認定医
介護支援専門員
【所属学会】
日本口腔インプラント学会
インプラントスタディグループ松山
日本矯正歯科学会
日本歯周病学会
日本顎咬合学会
四国SJCD
JACID
日本臨床歯周病学会
日本顕微鏡歯科学会