
半年後の予定を前に「骨が少ない」と言われたら
「骨が少ないので、骨造成が必要かもしれません」。インプラントの相談でこう告げられると、手術が増えるのか、半年後の予定に間に合うのかが気になります。この記事では、GBRの目的と歯科用CTでの診査から埋入までの流れを整理します。同時に行う場合と時期を分ける場合の違いも取り上げます。期間は骨の状態で変わるため、段階ごとに見通しを確認することが計画の出発点になります。
この記事の要点まとめ
- 歯科用CTで骨の状態を確認し、骨造成の要否や方法、治療期間の見通しを個別に検討します。
- 埋入と同時なら数か月程度、時期を分ける場合は半年を超えることもあり、骨の治癒状況で変わります。
- 腫れや全身状態、通院予定を踏まえ、手術日や費用の内訳、予定が延びた際の対応を事前に相談します。
骨が少ないとき、GBRが必要かはどう決まる?
歯科用CTで骨の幅・高さと周囲の状態を確認する
歯を抜いてから時間がたつと、その部分の骨は幅も高さも少しずつ痩せていきます。歯科用CTでは、どこにどれだけ骨が足りないのかを立体的に確かめます。上顎洞や下顎の神経との距離も同時に確認します1。この結果をもとに、骨造成が必要か、治療期間はどの程度になりそうかを見立てていきます2。
GBRはインプラントを支える骨の形成を促す方法
GBR(骨誘導再生法)は、骨が足りない部分に骨補填材や自家骨を置き、メンブレンという膜で覆う方法です。膜が歯ぐきの入り込みを抑え、その内側で骨がつくられるのを待ちます。用いる材料によって骨の幅の変化に差がみられたとする解析もあります3。上顎の奥歯で高さが足りない場合には、サイナスリフトやソケットリフトといった別の骨造成が検討されることもあります。
骨が少なければ全員に同じ方法、とは限らない
足りない骨の量や形によって、埋入と同時に行えるか、時期を分けるかが変わります。細いインプラントを選ぶ方法もあります。ただ、前歯部を対象にした研究結果4を奥歯にそのまま当てはめることはできません。噛む力のかかり方や部位を含めて、個別に判断されます1。
骨造成をすると治療期間はどのくらい変わる?

同時に行う場合は、骨造成と埋入を一度の手術で進める
今ある骨でインプラントを安定させられるなら、埋入と同じ日にGBRを行う方法が検討されます。手術は一度で済みます。とはいえ、骨とインプラントが結合するまで待つ期間は省けません。一般的には、埋入から人工歯の装着まで数か月程度を見込みます1。同時に行う方法については、12か月以上経過したあとの骨の安定性を材料ごとに比べた研究もあります3。
時期を分ける場合は、骨の治癒を待ってから埋入する
骨の欠けが大きいときは、先に骨造成だけを行い、骨ができてから埋入します。流れは「診査→骨造成→骨の治癒(数か月)→CTで再評価→埋入→結合を待つ期間→人工歯の装着」です。手術は2回になり、治療全体で半年を超えることもあります21。期間は延びますが、骨の状態を確かめてから次へ進めるという考え方に基づいた進め方です。
結婚式までに何を目指せるかは段階ごとに確認する
半年後に大切な予定があるなら、「人工歯まで入るか」と「手術をいつ終え、腫れがいつ落ち着くか」を分けて考えてみてください。そのほうが計画を立てやすくなります。期間を左右するのは、骨の不足の程度や部位、喫煙習慣、糖尿病などの全身状態です5。式の時期が治療の途中にあたる場合、その間をどう過ごすかも早めに相談しておくと見通しが立ちます。
腫れや骨の治り方で予定が変わるとき
術後の腫れを見込んで仕事と付き添いを調整する
骨造成を伴う手術のあとは、数日をピークに腫れや痛みが出ることがあります。程度には個人差があります1。骨造成を伴うインプラント治療で起こりうる主なリスク・副作用は次のとおりです。
- 術後によくみられるもの:腫れ、痛み、出血、内出血(頬やあごのあざ)、口が開けにくい感じ
- まれに起こりうる合併症:傷口の感染、膜(メンブレン)の露出、骨補填材の一部の流出、下顎の神経に近い部位での唇やあごのしびれ、上顎の奥歯では上顎洞(鼻の奥の空洞)の炎症
- 治療経過に関わるもの:骨が予定どおりにできない、インプラントと骨が結合しないなどにより、追加の処置や期間の延長が必要になる場合
手術日は、翌日から数日間に大事な仕事やご家族の通院付き添いが入っていない日を選ぶと調整しやすくなります。食事を普段どおりに戻す目安も、事前に聞いておきましょう。
治癒の確認と、経過が思わしくない場合の対応
術後は消毒や抜糸を行い、画像検査で骨の状態を確かめます。腫れが引かない、膿が出るといった感染が疑われる症状や、膜の露出がみられた場合は処置が必要です。場合によっては膜や骨補填材を取り除くこともあります。しびれや強い痛みが続くときも、早めに担当歯科医師へ連絡してください。骨が十分にできていないときは、埋入時期を延ばす、追加の骨造成を行うなど方針を見直すことがあります2。
喫煙や持病、服薬は治療前に伝える
喫煙や糖尿病、骨粗しょう症の薬などは、骨の治り方に影響する可能性があります5。ご家族の抜歯を検討している場合も同じです。年齢だけで抜歯のリスクを判断せず、持病やお薬手帳の内容を担当歯科医師に伝えるところから始めましょう。
松山市で通院計画と費用を相談するとき
仕事や家族の予定から、通院日と予備日を考える
通院は、診査、手術、抜糸や経過確認、再評価、人工歯の型取りと装着と、段階ごとに必要になります。松山市内で働きながらご家族の通院にも付き添っている方は、初診時に次のことを伝えておくと日程を組みやすくなります。休める曜日、結婚式の日付、経過次第で予定がずれたときの予備日です。治療前や治療中の相談では、お口の状態や必要な治療について、一つひとつ説明を受けて確認しておくとよいでしょう。
CT診査では治療の分け方と料金の内訳を聞く
診査の際は、次の点を質問として整理しておくと安心です。
- 同時に行える条件と、分けた場合の期間の差
- 骨の治癒をいつ、どの検査で確認するか
- 予定より延びた場合の進め方
- 診査・骨造成・埋入・人工歯・追加処置それぞれの費用
インプラントに伴う骨造成は、一般に自由診療(公的医療保険の適用外)です。GBRの費用は骨を補う範囲や使う材料によって幅があり、一般的な相場は1か所あたりおおよそ3万〜15万円程度です。多くの場合、インプラント本体や人工歯の費用とは別にかかります。期間の目安は、骨の治癒を待つ数か月程度に加え、時期を分ける場合は手術が2回になり、治療全体で半年を超えることもあります。これらは一般的な相場であり、当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関によって異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。
よくある質問
Q. GBRは骨を造成する治療法ですか?
A. はい。骨が不足している部分に骨補填材などを置き、メンブレン(膜)で覆って骨の形成を促す骨造成の方法のひとつです。上顎の奥歯ではサイナスリフトやソケットリフトが選ばれることもあり、方法は骨の状態によって変わります。
Q. 骨の再生にはどのくらい時間がかかりますか?
A. 骨造成の範囲や部位によって異なり、一般的には数か月程度を見込みます。CTなどで骨の状態を再評価してから次の段階に進むため、経過によっては前後します。
Q. 骨造成を伴うインプラントの治療期間はどのくらいですか?
A. 埋入と同時に骨造成を行う場合は、数か月程度で人工歯の装着に進むことがあります。時期を分ける場合は手術が2回になり、全体で半年を超えることもあります。期間は個別の診査で見立てます。
Q. 歯科医院の「6ヶ月ルール」とは何ですか?
A. 一般には、保険診療で入れ歯を作り直す際、前回の製作から6か月以上空ける決まりを指すことが多い言葉です。骨造成やインプラントの治癒期間とは別の話なので、気になる場合は担当歯科医師に確認してください。
Q. ほかの歯科医院で骨が足りないと言われました。相談できますか?
A. 骨の量だけで治療法が決まるわけではないため、CT画像をもとに改めて状態を確認し、考えられる選択肢と期間の見通しを相談することは可能です。以前の検査資料があればお持ちください。
参考文献
1. 日本口腔インプラント学会 https://www.shika-implant.org/
2. 公益財団法人 日本医療機能評価機構「Minds ガイドラインライブラリ」 https://minds.jcqhc.or.jp/
3. Calciolari E, Corbella S, Gkranias N, et al. Efficacy of biomaterials for lateral bone augmentation performed with guided bone regeneration. A network meta-analysis. Periodontology 2000. 2023. PMID: 37752820 / DOI: 10.1111/prd.12531
4. Zhang Y, Wen G, Dong W. Clinical outcomes of narrow- and regular-diameter implants with bone augmentation in the anterior maxilla: a systematic review and meta-analysis. Clinical oral investigations. 2024. PMID: 38443497 / DOI: 10.1007/s00784-024-05588-4
5. 公益社団法人 日本歯科医師会 https://www.jda.or.jp/
平成18年3月 九州大学歯学部卒業
福岡市にて勤務
横浜市にて勤務
平成27年12月 開業
ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト
日本歯周病学会 認定医
介護支援専門員
【所属学会】
日本口腔インプラント学会
インプラントスタディグループ松山
日本矯正歯科学会
日本歯周病学会
日本顎咬合学会
四国SJCD
JACID
日本臨床歯周病学会
日本顕微鏡歯科学会
